1943年 - アルバート・ホフマンがLSDの幻覚作用を発見。
そしてホフマン博士は4月19日、再び(1度目は意図したものではなかったが)LSDを0.25mg服用して自己実験を行った。
ホフマンは以前と同質かあるいはさらに変化に富んだ奥深いものを体験することができた。しかし、感覚の変化が深まるにつれて供述することが困難となり、自己実験の供述を記録していた女性助手に家に送ってくれるよう頼まざるを得なかった。自転車で送ってもらっている途中も、視野にある全ての像は揺れ動き、歪曲化され、自転車が一向に進んでいるように感じられなかった(後にこの日は「LSD自転車旅行の日 (Bicycle Day)」と呼ばれ、ホフマンは創始者としても有名になった)。
家に着いても症状は一向に治まらなかったため、助手に医者を呼んでもらっていたが、その間に隣に住んでいる婦人が牛乳を差し入れてくれた。空間が全て回転し、部屋の中のものや家具がグロテスクに変化し、まるで命を持っているかのように絶えず揺れ動き、隣の婦人も色の黒い醜い顔をした意地の悪そうな魔女に見えた。医者はホフマンがとてもしゃべられる状態ではなかったため、研究助手から実験のあらましを聞いていたが、瞳孔以外には異常は認められず、ホフマンをベッドまで運ぶとそばで観察しているだけだった。
やがてその感覚が消えると、ホフマンは感謝と幸福な気分が満ちてくるのを感じた。そして万華鏡のように幻想的な現象が起こり始めるのを見た。視界は環状と螺旋状が開いては閉じ、あたかも色彩の噴水のようであり、絶え間ない流れの中に新しい配列と交差が形作られ、戸の掛け金の音や自動車の音とともに視覚的世界が変容し、それぞれの音にふさわしい色と形で生き生きと変化に富んだ形象となった。ホフマンはそのまま疲れ果てて眠ってしまった。
翌朝、目が覚めたときはまだ疲労が残っていたが、快適な気分と新鮮な生命力がホフマンを満たしていた。朝食はとりわけ美味しく、朝食後の散歩ではあらゆるものがきらきらと光り輝き、世界は再び創造されたかのようであった。LSDはバラエティに富みしかも刺激的な酩酊を生み出しながら、後に残ることなく、実験の後でホフマンが感じたのは肉体的、精神的爽快であった。
〈アルバート・ホフマン〉
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%95%E3%83%9E%E3%83%B3_(%E5%8C%96%E5%AD%A6%E8%80%85)
明日4月19日は、ホフマンがLSDの幻覚作用を発見した日です。
ダメと言われても誘われて吸ってしまう…
漫画では度々『元気になる薬』と言われる麻薬の使用者たちが語る言葉には何か説得力があるのかもしれません。
『色彩の噴水』という物凄い表現からも分かるように、麻薬は世界を変えてしまう。
有名な話では、MOTHER2の戦闘グラフィックは幻覚作用を意識したものと言われています。
確かに万華鏡のように不気味な鮮やかさが目立つ背景です。
『新鮮な生命力がホフマンを満たしていた』
何か惹きつけられる不思議な魔力を放つ言葉ですね。
世界が再び創造されたようだった――
「人間は宇宙のどこかで起こったこと等も知覚しているが、その膨大な情報量によって日常生活に支障をきたさないよう、脳や神経は日常生活において特に有益な情報のみを選り抜く『バルブ』の役割を担っている。薬物は脳細胞へグルコースを供給をする酵素の生産を抑制させ、脳や神経とその『バルブ』の働きを低下させるために、今まで知覚できなかった様々な情報、いわゆる幻覚が見えるようになる」
オルダス・レナード・ハクスリーは著書『知覚の扉 (The Doors of Perception)』や『天国と地獄 (Heaven and Hell)』において自身のメスカリンなどの幻覚剤による体験やLSDについて紹介している。
特定の人には聞こえないモスキート音の例を考えると、分かるような分からないような分かった気になるような…
「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」
(Lucy in the Sky with Diamonds)
歌詞の内容もサウンドも、サイケデリック音楽の典型とされている。
また、タイトルの名詞の頭文字をつなげると「LSD」となると指摘され、ラジオで一部放送禁止にもなった。
ジョン・レノンは「偶然だ」と言うが、真実は誰にも分からない。
LSDに関連する作品は総じて『生命力』がキーワードに挙げられます。
自分や世界が一周して再現されたかのような、目の前に新たな息吹が吹き荒れるようなイメージです。
こうなってくると、蟲師の第六話「露を吸う群」を思い出します。
「言葉には、密度がある」気がする
寄生した蟲の寿命は1日だけ。
しかし1日の終わりには子を残し子々孫々寄生を続ける。
蟲は体内時計をシンクロさせる能力を持っており、女の子は蟲の一生を毎日体感させられる。
生命の鼓動を朝から晩までダイレクトに実感し続けた女の子はもう蟲なしでは生きていけなくなってしまった。
うーん、こうして見るとLSDに通ずるものがあります。
命の芽吹きから最後の鼓動まで…
世界が再び創造されるような感覚ってとても気になりますね。