4.22:毒ガスの父ハーバーの偉大なる愛について
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1915年4月22日 - 第一次世界大戦: イーペルの戦い。ドイツ軍がフランス軍に対し史上初の大規模毒ガス攻撃を行う。

「祖国ドイツのためならば、私は敢えて地獄にも堕ちよう」

〈フリッツ・ハーバー〉

ハーバーはプロイセンに生まれたユダヤ人で、ネルンストが取り組んで失敗した空中窒素固定法を完成させたことで後にノーベル賞を受賞する。

ハーバー・ボッシュ法により、アンモニアの人工生成が可能となり、人工肥料の作成が可能になる。人口増加に大きく貢献した技術といえる(当時は、水と石炭と空気とからパンを作る方法といわれたそうである)。

その一方、アンモニアは火薬の原料になるため、プロイセン皇帝はこれにより戦争を決意したともいわれている。科学の二面性が見える。

 

第1次世界大戦で、ハーバーは積極的に国家を支援する。

ネルンストが取り組んで失敗した毒ガス製造を引き継ぎ、やはり毒ガスを完成させる。

最初は、戦時条約に違反しないように理論武装しながら使われるが、敵からもやりかえされ、どんどん毒ガスも強力になっていくのであった――

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ハーバー「毒ガスで戦争を早く終わらせる事が出来る。無数の人命を救う事ができる!」

この言葉だけでも、祖国ドイツのために頑張っていたことが伺えます。

しかし、毒ガスを極めることが人類どころか地球規模で戦慄を与えることになろうとは…

 

リスク社会論「気をつけなさい。科学の進歩は眼に見えない犠牲を伴っています」

今でこそこうした意見が浸透しているけど、当時はどうだったんでしょうか。

恐らく「勝てば良かろうなのだ!」だったのかもしれません。

 

アイザック・アジモフ「科学者はこのとき罪を犯した」(ハーバーを評して)

伏魔殿の闇の深さを感じます。

毒ガス開発の父ハーバー 愛国心を裏切られた科学者 (朝日選書 834)

 

ハーバーの遺体は、妻クララと共に――

百年の悲劇はここから始まった〜「新・映像の世紀」〜

彼女はハーバーとの結婚をためらったが、結婚と研究生活とが両立できるのならとハーバーからの結婚申し込みを了承している。

彼女の本名は、クララ・イマーヴァル。

1870年6月21日、ドイツのブレスラウに生まれたユダヤ人であった。

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彼女が生まれる3年前にワルシャワで誕生したのがマリア・スクウォドフスカ。後のキュリー夫人である。

1895年7月26日、ピエール・キュリーと結婚して、その後も共同で研究を続け、1902年3月に11トンのピッチブレンドからラジウム塩を分離することに成功している。

 

おそらくクララもマリーと同じ道を歩むことを目指したことだろう。

しかし、フリッツはそれを許さずに彼女に対して家庭に入ること、研究生活から身を引くことを強要する。

そのことが彼女にとって大きなストレスになったであろうことは想像に難くない。

 

これが後の悲劇につながる。

 

1915年4月22日、フリッツが指揮した毒ガス作戦はイープル地区で実行に移された。

化学者であった妻のクララは夫がやっていることを正確に理解していた。

彼女は何とか夫を説得してやめさせようとしたがフリッツは聞く耳を持たなかった。

 

そして5月2日、クララは抗議のために自ら命を絶ったのである。

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自分の遺灰はクララと一緒に埋めてほしい。

墓碑銘には「彼は戦時中も平和時も、許される限り祖国に尽くした」とだけ記してほしい。

〈フリッツ・ハーバー〉

 

愛国心で愛する妻を失い、愛国心も裏切られたハーバー。

それでもなお、最期の最後まで両者を想い続ける姿は素晴らしいと思った。

化学・生物兵器の歴史

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