【概要】
ミネバ・ラオ・ザビがイイ女だと思った。
女を征服したい男にとって意志の強い女は眩しくて触れられない存在だ。
でもそれで良い、黄金の精神はダメ男を寄せ付けない聖域になる。
シャアや視聴者に偏見の塊、傀儡とか思われていた頃のミネバ様とは違う!
ナナイやセシリーに並ぶ、素敵な心をお持ちになられましたな(*´ω`*)
【内容】
悔いながら生きている…
老主人「おごりだ、飲みな」
「いい食いっぷりだ。若い娘さんにしちゃあ、気取りがなくていい」
ミネバ「……ぁ、ありがとうございます。いただきます」
老主人「ここいらじゃ見かけないが、どこから来なすった?」
ミネバ「……(上を指差す)」
老主人「……スペースノイドか。そりゃぁ見かけんわけだ」
「観光かい? このあたりじゃ見るものもないだろうに」
ミネバ「いえ。宇宙暮らしの身には、地面に足をつけているだけで嬉しいものです」
老主人「わしらのような者には、この重力が疎ましくなることもある。宇宙へいけば、腰の痛みもとれるんじゃないかってな」
ミネバ「……ずっと、地球に住んでおられるのですか?」
老主人「ああ。いまさら離れられんよ」
「……わしらの世代は、爺さん婆さんから昔の惨状を聞かされて育っとる。そりゃぁ酷いもんだったらしい。それをなんとかしたくて、人は連邦政府を作り、宇宙移民ってやつを始めた。貧乏人だけが無理やり宇宙へ棄てられた、って言うやつもいるが、望んで出ていった連中も大勢いた。地球の自然が元に戻るまで、もう帰らないと覚悟してな。それも、一年戦争でほとんど元の木阿弥になっちまったが……」ミネバ「……救われませんね」
老主人「……まぁしょうがない。すべて善意から始まっていることだ」
ミネバ「善意?」
老主人「連邦も移民も、もとは人類を救いたいって善意から始まってる。会社を儲けさせたり、家族の暮らしを良くしたいと願うのと同じで――」
ミネバ「でもそれは、ともすればエゴと呼ぶべきものになります」
老主人 「そうかも知れんがね……。それを否定してしまったら、この世は闇だよ」
「自分を殺して全体のために働ける奴ってのもいるんだろうが、それはそれで胡散臭い。ネオ・ジオンのシャアとかな……。すべて人のためだと言いながら、隕石落としをやる……。本当は、人間を好きになったことがない男だったんじゃないかな」ミネバ「では、どうすれば――」
老主人「さあなぁ。わしらには、そいつがわからなかった。努力はしたつもりだが、結局はツケを先送りにしただけで、あんたたちに何もしてやれんことを悔いながら生きている。わしには、そのコーヒーを淹れてやるだけが精一杯だ……」
ミネバ 「……そうか。そうですね……。私に、やれること……」
「美味しいコーヒーでした。このコーヒーを飲めただけでも、地球に来た価値はあったと思います」黒服「オードリー・バーン様。ローナン議長がお待ちです。ご同道を」
老主人「あんた……!」
ミネバ「ミネバ・ザビである! 逃げ隠れするつもりはない。道を開けよ」
老主人「…………」
この老主人が好きだ。
「努力はしたつもりだけどツケを先送りにして、次の世代に何もしてやれないことを悔いながら生きている」
もしも自分が同じ立場になったとして、若い娘に同じことを言えるかな?
ましてや「分からなかった」だなんて…
ミネバ・ラオ・ザビの中にある黄金の精神!
おれが老主人なら、間違いなく「悔いながら生きている」の言葉を言い切る前に泣いてると思う。
自分なりに答えを探そうとして人生を通して考えた結果、「分からなかった」と言うしかない。
「そのコーヒーを淹れるのが精一杯だ」ってセリフが重い。
ミネバはマジでイイ女だと思った。
この場面で「美味しいコーヒーでした」って言ってくれるのは嬉しい。
ちょっと救われた気がする。
ミネバは気高いというか、芯の通った女だなって感じる。
考えても分からないことは聞き、どうすれば良いのかを探し続ける力がある。
それは黄金の風の黄金の精神、『真実へ向かおうとする意志』だなって思った。