強欲な壺
通常魔法
自分のデッキからカードを2枚ドローする。
「遊戯王OCG」のvol.3にて登場した魔法カード。
遊戯王OCGのカードの中でも特にテキストが短い。その行数僅か一行。軽く手抜きを疑う。
E・HERO ワイルドマンの「罠の効果を受けない。」に次ぐ短さである。
「テキストが短いほど強い」ということを体現したカード。
シンプル故に強力であり、条件やデメリットも無しに1:2の交換が可能。
また、入手難度も低く、誰の、どのデッキにもほぼ必ず三枚投入される程だった。
単純にして明快で、そのとてつもない汎用性から「最強のカードの一枚」に挙げられることも少なくなく、
(事実、他のTCGにおいてデメリットなしのドロー加速効果はルール上あまりメリットにつながらないゲームでない限り、ほぼ存在しない。それほど強力なカードである)
一時は「壺がないデッキはただの紙束」とされていた時期もあった。
原作ではバトルシティ準決勝で闇遊戯が使っていたのみの登場。
しかしアニメでは初代の乃亜編あたりからみんな使い始め、アニメGXの2期あたりまで(禁止カード指定された後も)ずっと使い続けられていた。
それ以降はさすがにスタッフが自重したのか出番が減り始め、禁止となった5D's以降は一回も出ていない。
漫画GXでは十代や紅葉がしばしば使っている。さらに強欲な壺すら超えるドローカードも出てくる。影山自重しろ。
だいたいが手札が尽きたときに限って引いたり、これによってコンボパーツが揃ったりなど、逆転フラグとも言える存在。
シナリオライターに優しいカードとも言える。
コンマイが初期に発売してその奇妙なイラストと鬼畜な効果で世の決闘者を狂喜乱舞させたカード。
「強欲な壺が入らないデッキはデッキじゃない」
シンプル・イズ・ベスト――
武藤遊戯のような運命力を有しない我々一般人にとって、そのカードはまさに天国を引き寄せるような効果を持っている。
もしもプッチ神父がデュエリストになったら『加速』にこだわる音速デッキを構築するに違いない。
プッチ神父「私のデッキは勝つまでの道筋を極めて確実に迅速に加速させることを目的としている…!すなわち予定調和だ」
何だか妙に説得力あるデッキですねぇヽ(`Д´#)ノ
そして注目すべきはその汎用性にある。
Gジェネアドバンスの砂漠でバクゥに煽られ続けた時に初めて痛感した、あの汎用性だ。
明らかに砂漠の狐を意識したであろうアンドリュー・バルトフェルドのインパクトはあそこで決まった。
キャラクターとしての役割は別として、貧弱な戦力を環境と適合させて勝利に導いていくあの精神がカッコいいと思った。
ともかく、時に汎用性が最高のアビリティとして機能することは良くある話だったりする。
サッカーのスキルで例えるとどんなポジションもこなせる『オールマイティー』な選手………?
いや多分強欲な壺はそういう汎用性のレベルではないと思う。
サッカーでいう汎用性とは『判断力』のようなものだ。
サッカーを加点方式、つまり0から100に近付くことで勝利に繋がるスポーツと見るか。
それとも減点方式、つまり100を維持し続けることで勝利に繋がるスポーツと見るか。
どうすれば50を60に上げるのか、いかにして30減るところを10に抑えるのか。
どちらの観点から見ても『判断力』はフィットする。
強欲な壺をサッカーに適用するといわゆるスーパープレーの数=強さという誰の目にも分かりやすい指標が崩れる。
そうなると安定性と独創性を天秤にかけたファンタジスタの評価がより極端になっていくと思う。